鶏肉

鶏の品種改良とブロイラー、国産鶏、肉用鶏の主な品種、栄養は?

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鶏が日本に渡来したのは弥生時代といわれています。それから江戸時代末期までは、食用としてよりも時を告げる聖鳥、闘鶏、愛玩などが目的で飼育されていました。鶏肉を食べることが定着してからも長い間、卵を産まなくなった卵用鶏や雄鶏が食用とされていました。明治以降、外国種の輸入と交配研究が進みますが、鶏肉は牛肉よりも高級品でした。現在のような手ごろな価格で、手に入るようになったのは、第二次世界大戦後のことで、肉専用種のブロイラーの導入が始まってからのことです。

 

鶏のブロイラーとは?

現在、日本国内に流通する鶏肉の90%以上が「ブロイラー」と呼ばれる外国鶏種です。ブロイラーは、品種名ではなく、成長が早く肉付きがよいため、短期間で出荷できる「肉用若鶏」の総称です。

 

ブロイラー飼育は、1940年代アメリカで始まり、1950年代中頃から日本に導入されました。成長が早く、飼料効率にも優れ、通常約50日で大きく育ち、体重1.9~3kg前後で出荷されます。価格が手ごろでやわらかい肉質が特長です。

 

ブロイラーは狭い鶏舎で飼われている印象がありますが、現在のブロイラーは、鶏が床面、または地面を自由に運動できるように飼育する「平飼い」が一般的です。

 

大型施設では、コンクリート床にして、その下に床面給湯しているところもあります。フンを乾燥させ、管理しやすい利点があります。また「ウインドレス」という窓なしの鶏舎も増えています。鶏同士の喧嘩が少なくなり、外気から閉鎖されているため、室温調節がしやすく、衛生面でも優れています。

 

ブロイラーは外国産?おいしい、安全?国産鶏は?

現在、日本国内の養鶏農場が飼育している肉用鶏は、外国の育種会社が育種改良した「外国鶏種」の鶏が大部分を占め、日本で育種改良された「国産鶏種」は2%程度です。

 

「リーズナブルな価格でおいしい鶏肉づくり」を目指し、(独)家畜改良センター兵庫牧場では、長年の育種改良によって、「はりま」、「たつの」という「国産鶏種」を開発し、普及をめざしています。

 

◆はりま

「国産鶏はりま」、「生活クラブ生協」では、「丹精國鶏」の名前で販売されています。

 

◆たつの

「純国産鶏たつの」と生産者の個別ブランド名(純和鶏)を併記して販売されています。

 

肉用鶏の主な品種って?

◆白色コーニッシュ

アメリカで日本の大型シャモと交配・改良された「赤色コーニッシュ」が原種です。現在のブロイラー改良における雄系の代表的な品種です。全身が白く、もともと闘鶏用種のため、胸の肉付きがよく発育がよいのが特長です。

 

 

◆白色プリマスロック

アメリカ原産です。「黄斑プリマスロック」の突然変異で白色が出たといわれています。世界で最も多く飼育されている、現在のブロイラー改良における雌系の代表的品種です。

 

◆ブロイラー

白色コーニッシュの雄に白色プリマスロックの雌を交配したものが世界のブロイラーの大半を占めています。

 

◆名古屋種

明治初期に中国原産の「バフコーチン」と愛知県尾張地方の在来種などを交配して誕生しました。コーチン型という独特な体型で太い脚をもっています。

 

◆シャモ

江戸時代、あるいはそれ以前に「シャム(現在のタイ)」から闘鶏として渡来したといわれています。良質肉質なことから各地の地鶏の品種に使用されています。

 

◆赤色コーニッシュ

イギリス原産の「インディアンゲーム」を、アメリカで日本の大型シャモと交配・改良された品種です。歯ごたえがあり、ジューシーな肉質が特長です。

 

◆黄斑プリマスロック

アメリカのマサチューセッシュ州原産です。黒白のシマ模様があり、脂ののった肉質と強い繁殖能力が特長です

 

◆ロードアイランドレッド

アメリカのロードアイランド州で品種改良された卵肉兼用種です。羽色は濃い赤褐色で、尾羽が黒く、体が大きくて、繁殖力が強いのが特長です

 

鶏の栄養って?

鶏肉の主成分は、たんぱく質と脂質です。

 

たんぱく質には、必須アミノ酸がバランスよく含まれています。敬遠されがちな脂質ですが、鶏肉の脂肪酸にはコレステロールを下げるリノール酸などの多価不飽和脂肪酸が多く含まれています。

 

また、体内でビタミンAの働きをするレチノールが多いのも鶏肉の特長です。

 

ビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保ったり、生活習慣病予防やアンチエイジングにも役立ちます。

 

さらに、むね肉に豊富に含まれるイミダゾールジペプチドに抗疲労効果があることが科学的に証明され、今、各方面で注目されています。

 

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