馬肉

生で食べることの多い馬肉は安全なのか?

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「天高く馬肥ゆる秋」ことわざがありますが、冬に向けて脂肪を蓄える馬肉は、9月〜11月が最も美味しい季節を迎えます。
生で食べることの多い馬肉は本当に安全なのか?

 

馬肉は安全なのか?

①反芻動物(複数の胃を持つ動物)ではないこと

反芻動物(牛・羊・鹿など複数の胃を持ち、一度胃に入れた物を再び口に戻して咀嚼する動物のこと)は腸管出血性大腸菌(O157等)を保菌しているケースがありますが、馬は胃が一つしかないので腸管出血性大腸菌のリスクが低いのです。
厚生労働省の資料による平成11年~22年度の調査でも馬刺しから腸管出血性大腸菌は検出されていません。
同時に、食肉による細菌性食中毒の原因となるカンピロバクターについても、リスクは低いといえます。

*カンピロバクター(ジェジュニ/コリ)は、食中毒を起こす病原菌です。

微好気性といって、酸素が少しある環境を好み、酸素が十分にある通常の大気や、逆に酸素が全くない環境では増殖できません。

また、発育(増殖)できる温度域は、30℃から46℃です。
主な生息場所はウシ、ブタ、ヒツジ、ニワトリ、イヌ、ネコ、ハトなどの動物の消化管内で、これらの動物のふん便から検出されることがあります。

 

②奇蹄類であること

奇蹄類であることが挙げられます。馬は奇蹄類(ウマ目)といって蹄が一つです。

牛や豚は蹄の数が二つの偶蹄目に分類されますが、この蹄(ひづめ)の数の違いがウイルス感染の分野では重要な違いとなります。
口蹄疫と狂牛病というのはウイルス感染により起こりますが、これらのウイルスは偶蹄目の動物にのみ感染する病気ですので、奇蹄類である馬には感染しません。ですから馬は口蹄疫や狂牛病などの心配が無いのです。

 

③抗原度が低いこと

馬は抗原度が低く、アレルギーを起こしやすいと言われている牛や豚などに比べるとアレルギーを起こしにくいのです。
このように馬ならではの特性が、馬肉の安全性につながっています。

 

*東京医大式食物抗原強弱表より抜粋

 

④冷凍処理していること

中心温度で―20℃で48時間・―30℃で36時間・―40℃で18時間を行えば馬肉に住み着くザルコシスティスフェアリーによる嘔吐腹痛を防げます。

2011年からは厚生労働省から流通過程で馬刺しを冷凍処理することを指示され、さらに安全に召し上がっていただけるようになりました。

 

生産者たちの”努力”があるからこそ生食が可能

馬肉の安全性は生産者たちおよび業者の努力によって保持されてきました。

生食用の馬肉を供給するために、設備や作業マニュアルを向上し、より高いレベルの安全性を追及しています。
当然、生産者だけではなく、飲食店の現場においても徹底した管理が重要になってくるので、馬肉の生食を守るためにも衛生管理を徹底していかなければなりません。
生産者の方、業者の方々の努力があってこそ、私たちは美味しい馬刺しが食べられているんですね。

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